自作キーボードをはんだ付けするための道具選び 入門(とその沼のほとり)
この記事は オバケやしきーバーリ・トゥード Advent Calendar 2024 の24日目の記事です。
はじめに
自作キーボードに興味がある方がよく言及しているのが、「自作キーボードを始めたいけど、はんだ付けをしたことがない」「どの道具を選べばいいかわからない」といった、そもそもの道具選びの難しさや心理的なハードルです。
この記事ではそのつまづきを解消すべく、
- どんな道具が必要か
- なぜこの道具を選んだのか
を順に説明していきます。
合わないものを買ってしまったり、変に予算を削って作業しにくくなるのは、そのまませっかくの趣味を諦めてしまうことにつながりかねません。
解説パートではいくつかの候補をあげていますが、少なくともこれがあれば大丈夫というリストも用意したので、解説を読まずにそのままAmazonなどに直行してもいいです。こういう時の勢いって大事ですからね!気になったらまた戻ってきてください。
この記事は2024年12月時点の情報に基づいています。将来はより便利な道具や、様々な自作キーボードの選択肢が増えていることと思います。
TL;DR(もしくは買い物リスト)
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はんだ付けに必要、もしくはあると便利な道具
- はんだごて:Hakko FX-600 https://www.amazon.co.jp/dp/B006MQD7M4
- こて台:Hakko こて台 FH-300 https://www.amazon.co.jp/dp/B017SQ0TUO
- はんだ線:goot 精密プリント基板用 φ0.8mm https://www.amazon.co.jp/dp/B0C8YXTY9T
- はんだ吸取器:goot はんだ吸取器 GS-108 https://www.amazon.co.jp/dp/B0016V5KHU
- ニッパー:ENGINEER マイクロニッパー NP-05 https://www.amazon.co.jp/dp/B002F9MQHY
- 先の細い金属製ピンセット:goot 精密ピンセット 標準タイプ TS-10 https://www.amazon.co.jp/dp/B0036RSOVQ
- 細めのマスキングテープ:タミヤ マスキングテープ 6mm https://www.amazon.co.jp/dp/B0CP27X9R9
- スイッチ付きの電源タップ:口数は少なくて大丈夫です。コンセントから作業机までの距離を測って選んでください。
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自作キーボードははんだ付け入門にちょうどいい
- 必要なのは簡単な作業だけで、反復するうちに上達を感じやすいから
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やけどと火事に気をつけて!
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おまけ(後日追記)
- キーボードキットの話
- キースイッチの話
- はんだ付けのコツ
本編
はんだ付けに必要な道具、解説付き
必要なもの
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はんだごて(はんだこて)
はんだ線を加熱し溶かすための道具です。はんだ付けでイメージするもののひとつではないでしょうか。
はんだごてにはコンセントに挿すケーブルがついています(最近はバッテリーで動作するものもあります)。シンプルなものでは、加熱したい時にコンセントに挿し、冷ましたい時や作業が終わった時に抜きます。ですが、その作業は案外面倒です。コンセントに挿したままだと、どんどんこて先の温度が上がっていき、はんだを溶かすのに適した温度を簡単に超えてしまいます。温度を気にして作業中に何度も抜き差ししていると集中力も切れますし、温度管理ははんだごてに任せてしまいましょう!
今回選んだはんだごてには温度調節用のダイヤルがついていて、設定した温度を自動的に保ってくれます。はんだ線を溶かすのに適した温度(融点)に設定することで、はんだ付けのクオリティーが上がります。はんだ線のパッケージには融点が必ず記載されているので、調節ダイヤルの数字の中で融点に一番近い温度を設定してください。
もし温度調節機能がないはんだごてを選ぶのであれば、20Wや30Wといった数字が書かれているものを選んでください。自作キーボードの場合、20W以下だとパーツをなかなか温められず、30Wを超えると加熱しすぎになりやすいです。個人的には20Wで十分と思っています。
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こて台
作業中の加熱したはんだごてを置いておくための金属製の台です。こて先が宙に浮く構造になっているので、机に熱が伝わることはありません。当然ですが、熱いはんだごてを木製の机に直接おくと焦げます……。
出先で使用するための折りたたみ式のものもありますが、今回は多少嵩張っても安定するものを選びました。軽いこて台はこけたりします。
最近はしっかりしていてかつ折りたためるタイプもあるようなので、そちらを選んでもいいかもしれません。FH-305という型番のものです。
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はんだ線
はんだ付けでは、はんだ線を熱で溶かし、流し込むことで金属部分同士を固定しています。自作キーボードのサイズ感だと太さがΦ0.8mmかΦ0.6mmのものがちょうどいいと思います。はんだ不足になることを考えて、今回はΦ0.8mmのものを選んでいます。
パッケージに「ヤニ入り」と書いてあるのは、はんだを溶けやすくするフラックスというものが含まれている、という意味です。このフラックスはだんだんと酸化していくらしく、はんだ線は1年を目処に使用すると良いそうです。時間が経ってしまったはんだでも、別途フラックスを塗布することで使用できます。
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はんだ吸取器、もしくは吸取線
はんだ付けをしている時、どうしてもはんだを盛りすぎてしまったり、パーツを一度外したくなる場面があります。その時に使用するのがはんだ吸取器、吸取線です。冷めて固まったはんだをはんだごてで温め直し、溶けている間にはんだ吸取器、吸取線で吸い込んで取り除きます。
はんだ吸取器はポンプのようにバネを押し込み、空気圧ではんだを一気に吸い込みます。便利な一方、押し込んだバネの反動があるので、扱いに少しコツがいります。
はんだ吸取線は金属製の紐のような道具です。吸取器では細か過ぎるようなパーツなどに使います。
自作キーボードでははんだ吸取器の方が取り回しが良いです。
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ニッパー
はんだ付けするパーツが基板の穴に足を差し込むような形状であれば、ニッパーを使って余分な足をカットします。電子工作でよくイメージされる道具のひとつです。
基板の穴にパーツの足を通すのではなく、基板の上に載せるだけのパーツ(表面実装と呼ばれます)を採用しているキーボードキットもありますが、その場合はニッパーは不要です。
細かい作業向けのニッパーなので、先が尖っていて、刃の表面が比較的平らなものを選びます。
細かい作業なのでプラモデル用のニッパーを流用できそうですが、刃こぼれする可能性があるのでおすすめしません。プラモデル用のものは、プラスチックなどの柔らかい素材を扱うためのものなので、金属を切断するのはやめましょう。
あると便利
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ピンセット
細かいパーツを基板に載せたりする時はもちろんですが、金属製のピンセットであれば、キーボードの回路がきちんと機能するかを簡単に確かめたい時にも使えます。
基板上の穴や端子をピンセットで触ることで、一時的に回路がつながり、キースイッチを押した状態を再現できるためです。キースイッチを差し込んでみて確認するのももちろん良いのですが、あまり何度もキースイッチを抜き差しすると、スイッチの足が曲がってしまうこともあります。ピンセットを使って確認する方法がおすすめです。
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細めのマスキングテープ
はんだ付けするパーツを仮止めするために、マスキングテープがあると何かと便利です。
細かいパーツをはんだ付けする時、はんだごての先端が触れたり、溶けたはんだに引き寄せられたりして位置がずれてしまうことがよくあります。マスキングテープがあると確実にストレスが減ります。
ビニール製のテープは熱で溶けるので避けましょう。
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スイッチ付きの電源タップ
はんだごての電源ケーブルは案外短く、コンセントに挿すと作業机に届かないことがよくあります(特に一般家庭では)。
ただの延長ケーブルではなくスイッチ付きのタップがおすすめなのは、はんだごてのケーブルの抜き差しをする手間を軽減したいからです。手元にスイッチがあれば、簡単にはんだごての電源を落とし、冷ますことができます。
また、ただの延長ケーブルの場合、はんだごてが延長ケーブルの重さに引っ張られて床に落下する危険があるため、安定感のある電源タップをおすすめします。
もちろんコンセントの口数は1つあれば十分です。ケーブルの長さは、作業場所とコンセントの距離を測って決めてください。
高級路線
- はんだごてステーション
- 自動はんだ吸取器
について、後日追記します。楽しい沼です。
なぜ自作キーボードははんだ付け入門にちょうどいいのか
自作キーボードはキースイッチを自分で選んではんだ付けしていくわけですが、同じスイッチをたくさんはんだ付けするというシンプルな作業を反復するだけなので、実は入り口としてとても良い選択肢です。繰り返すことで作業に慣れ、自然と上達していくのを感じられるはずです。
また、自作キーボードで登場するパーツが熱に強めだということも、入門に適した理由のひとつです。キースイッチなど自作キーボードで登場するパーツの多くは、はんだごての熱がいくぶん多めに伝わってしまっても、プラスチックなどが溶けない限りは問題なく使えます(やり過ぎるとちゃんと溶けるので程々に)。
もしキーボードキットの中にLEDがある場合は、LEDをはんだ付けしないでおくのもひとつの手です。というのもLEDは熱に弱く、手早くはんだ付けする必要があるからです。自作キーボードで採用されるLEDは薄く平べったい形をしたものがほとんどで、その分はんだ付けの難易度が高めです。LEDは装飾の意味合いが大きく、なくてもキーボードは文字を入力できます。まずはスルーしても大丈夫です。
そして何より、自分で使う道具を自分で組み立てるのは楽しい、というのが大きな理由です。やっぱり入り口というのは楽しいのが一番大事ではないでしょうか。上で言ったように、着実に作業が進んでいくので進み具合が見えやすいですし、完成した時は達成感があります。形が出来上がるだけでなく操作して何かを入力できるというのも、ものづくりの趣味の中で少し特殊な立ち位置にあると思っています。
やけどと火事に気をつけて!
はんだごての先端などの金属部分は、使用中に数百度にまで達します。そのため、素手ででこて先に触れてしまわないよう、十分に気をつけてください!作業が楽しくなって夜更かしなどすると、うっかり事故の元になります。
また作業中、周囲に燃えやすいものがないかを十分に確認してください。例えばティッシュはとても燃えやすいですし、パーツが入っていたビニールの小袋もこて先が触れて溶けたりします。
そして最も気を付けるべきなのは、「離席時には必ずはんだごての電源を抜く」ということです。目を離している間にはんだごてが机から落ち、そのまま床板やカーテンが……というシーンが容易に想像できます。少しだけだから、と油断せず、必ず電源を抜いてください!
おまけ
- キーボードキットの話
- キースイッチの話
- はんだ付けのコツ
について、後日追記します。楽しい沼です。
おわりに
自作キーボードやカスタムキーボードに手を出すとわかるのですが、キーボードたちは仲間を見つけると勝手に増えていきます。きちんとお世話するんですよ。
自作キーボードのキットを通った先には、オリジナルの基板設計という新たな沼が待ち構えています。私はまだ設計まで足を踏み入れていませんが、Alice配列のことはずっと気になっています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。良きはんだ付けライフを!
この記事は、Jones(キーボード)とKailh Deep Sea Silent Pro Box Switch(キースイッチ)の組み合わせで書きました。